ABOUT

DIVERSITY IN THE ARTS TODAY
STATEMENT

“障害者”と聞くと、どこか心がざわざわとします。多くの人にとって、未だ彼らは遠く、未知の存在。このざわざわは、どこからくるのだろうかと見つめてみると、知らない人とはじめて対面するときの感覚とも、少し似ているような気がします。たとえば、はるか遠い国に暮らす人々は、どんな言葉を持ち、どんな生活を送っているのだろう? という未知と同じように。そして、その未知の向こう側にあるいくつもの違いを越えて理解しあえたときには、大きな喜びが待っていることも、私たちは根本的には知っています。

このウェブメディアは、日本財団が新たに発足した「DIVERSITY IN THE ARTS」という取り組みのもと、日本各地で表現活動を行う障害のある人たちのアート作品と、それを取り巻く文化を広く紹介しながら、新たなプラットフォームを生み出していくことを目的にスタートします。

彼らの中には、言葉を持たない人もたくさんいます。そんな彼らが心の平穏を保つため、または、心を喜びで満たすために必要なものの一つに、アートなどの表現活動があります。そう、彼らにとっては、食事をするのと同じくらい大切なことでもあるのです。

ここで私たちが扱うアートという言葉は、美意識や知識がないと語れないような高尚なものではありませんし、作品に付けられた高い値段だけがその価値を決めるものだとも思っていません。
それはただ、一つとして同じ生き方などないと、感覚に訴えてくれるもの。言葉のない世界で、ともに喜びあえるもの。凝り固まった思い込みから解き放ってくれるもの。純粋に、心惹かれるもの。画一的な生き方など、つまらないと思っているたくさんの人たちに、彼らが描く世界を知ってもらいたいと思っています。

“ふつう”とはなんだろう?
これをアートと呼んでいいのだろうか?
自分となにが違うのだろう?

これは、彼らに触れることで次々と浮かんでくるクエスチョンの海を泳ぎ、たのしむためのメディアでもあります。そうして漂ううち、かつては生活の傍らに存在していたアートを再び手繰り寄せ、今以上に多様な生き方を尊重しあえるような、味わいある未来へと行き着けるように。

「DIVERSITY IN THE ART TODAY」をお届けしていきます。


OUTLINE

日本財団
DIVERSITY IN THE ARTSとは

日本財団では、多様な個性に寛容なインクルーシブな社会の実現を目指し、「障害者と芸術文化」の領域への支援を行っています。「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS(ニッポンザイダンダイバーシティ・イン・ジ・アーツ)」は、既成にとらわれない多彩な展覧会などの企画、積極的かつ横断的な情報発信を通じて多様性の意義と価値を広く伝え、越境や交錯、交歓の喚起を目指す新たなプロジェクトです。
多くの人が参加者となり、さらに新たな担い手や企てが生まれるよう、複数の企画を東京オリンピック、パラリンピックが行われる2020年に向けて開催いたします。

[事業展開]
1. 東京を中心とした展覧会等、多彩な企画の開催
2. 作品収蔵の拡大と作品価値の発信

[分野]
障害福祉/芸術文化/ライフ/イノベーション

これまでの実績

日本財団は、国内外で長きに渡り障害者支援に取り組んでいますが、障害福祉の現場で育まれてきたアート活動への支援もその一つです。「障害者と芸術文化」の領域で、「エイブル・アート」「アウトサイダー・アート」「アール・ブリュット」「現代アート」などさまざまな考え方や言葉があることを前向きに受けとめながら、2010年に、12万人を超える来館者が記録した「アール・ブリュット・ジャポネ展」がパリ(フランス)で開催されたことを契機に、「アール・ブリュット01支援事業」を展開し、今後のあり方について模索してまいりました。

2010年以降は、全国の障害者支援施設が、障害者がつくるアート作品に地域の中で身近に触れられる場所として小さな美術館を立ち上げる際に、各地域で親しまれてきた建築物を美術館にリフォームするための支援や、展覧会を企画するキュレーターの育成、展覧会制作の支援を行ってきました。また、アール・ブリュット・ジャポネ展に出展された作品を45名622点収蔵し、作品の適切な保存と展覧会等への作品貸出を行っています。

さらに、アール・ブリュットという言葉に限定されず、作品が生まれる現場を伝える映像制作や、アートやデザインを通じた仕事づくりへの支援なども積極的に進めてきました。

障害福祉の現場でアート活動を推進する動きは全国に広がり、国内外から評価を受けるとともに、さまざまなあり方が模索され、活発な議論が起きるようにもなりました。「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」は、これまでの実績と試行錯誤に基づいて推進する新たなプロジェクトです。

[支援実績]
1. コレクション(収蔵作品)

作品数:622点(作家:45名) ※新規収蔵予定あり

2. 美術館整備
2004年
ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県)
2011年
藁工ミュージアム(高知県)
2012年
鞆の津ミュージアム(広島県)、みずのき美術館(京都府)
2014年
はじまりの美術館(福島県)※New Day基金による
3. キュレーター育成

2012年~2013年 「ART BRUT & MAD」開講

協力:
NPO法人アーツイニシアティヴトウキョウ
8名修了(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、藁工ミュージアム、鞆の津ミュージアム、みずのき美術館、はじまりの美術館)
4. 美術館ネットワークの構築

障害者支援施設が立ち上げた美術館の運営ノウハウや課題を共有し、今後につなげる検討会の開催(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA、藁工ミュージアム、鞆の津ミュージアム、みずのき美術館、はじまりの美術館)

5. 展覧会

「アール・ブリュット・ジャポネ展」

主催:
埼玉県立近代美術館、新潟市美術館、高浜市やきものの里かわら美術館、岩手県立美術館、高知県立美術館、福岡市美術館、熊本市現代美術館、読売新聞社・美術館連絡協議会
特別協力:
日本財団
協賛:
ライオン、清水建設、大日本印刷、損保ジャパン
企画協力:
ボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県社会福祉事業団)
会場:

2011年 埼玉県立近代美術館、新潟市美術館
2012年 高浜市やきものの里かわら美術館、岩手県立美術館
2013年 高知県立美術館、福岡市美術館、熊本市現代美術館

日本財団アール・ブリュット美術館合同企画展2014-2015
「TURN/陸から海へ(ひとがはじめからもっている力)」

監修:
日比野克彦
主催:
TURN展実行委員会(みずのき美術館、鞆の津ミュージアム、はじまりの美術館、藁工ミュージアム)、日本財団
共催:
社会福祉法人松花苑、社会福祉法人創樹会、社会福祉法人安積愛育園、特定非営利活動法人ワークスみらい高知
アドバイザー:
森司
会場:
2014年 みずのき美術館
2015年 鞆の津ミュージアム、はじまりの美術館、藁工ミュージアム

他多数

6. その他
1995年
たんぽぽの家(奈良):「エイブル アート フェスティバル’95」の開催
1997年
たんぽぽの家(奈良):「芸術とヘルスケア」会議の開催
2004年
わたぼうしの会(奈良):アートセンターHANAの整備
2006年
はれたりくもったり(東京):障害者アートの価値創造及び可能性検証のための調査研究
2007年
グロー(滋賀):障害者アートの価値創造及び可能性周知のための啓発事業
2008年
グロー(滋賀):国内・アジア諸国における障害者アート発掘の調査研究
2008年
はれたりくもったり(東京):精神障害者の作品を中心としたアウトサイダー・アート展の開催
2009年
アトリエ インカーブ(大阪):ギャラリー インカーブの整備
2013~2015年
たんぽぽの家(奈良):「GOOD JOB! PROJECT」の開催
2014年
サイレントヴォイス(東京):映画『幸福は日々の中に。』制作
2015年
わたぼうしの会(奈良):GOOD JOB! CENTER KASHIBAの整備
2015年
やまなみ工房(滋賀):ドキュメンタリー映像作品『A Short Film About DISTORTION』制作
2016年
みずのき美術館(京都):デジタル・アーカイブの制作

他多数

註:アール・ブリュット

「生(き)の芸術」というフランス語。正規の芸術教育を受けていない人による、技巧や流行に囚われない自由で無垢な表現を讃えて、1945年にフランス人の美術家、ジャン・デュビュッフェが創り出した言葉。その後、イギリスの美術評論家、ロジャー・カーディナルにより「アウトサイダー・アート」と英訳され、世界各地へ広まった。 


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