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(カテゴリー)ARTISTS

(タイトル)國井 勇

(この記事について)

国道を行き交う大型のトラックや除雪車を愛でるのが日課。自らは雪景色を走る虹色のトラックを描く。

(更新日)2018年6月14日

CREDIT

[文]  嘉納礼奈[芸術人類学研究者]

[写真・映像]  高橋マナミ

虹トラック「國井号」はゆくよ。どこまでも。

B2サイズの大きな画用紙いっぱいに広がるマス目の一つ一つがカラフルに彩られている。ときには、緑から青、紫、赤、オレンジ、黄色、茶色と虹のような色のグラディエーションが描かれていたり。またあるときは、アトランダムにそれらの色がちりばめられ、チカチカ、キラキラ光っているように描かれている。カラフルなマス目の下にはよく見ると黒い丸が数個並んでいる。これが國井勇さんが描く「虹トラック」、もしくは「國井号」である。

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國井さんは、初めの頃、細かなマス目を黒いマーカーかボールペンでフリーハンドで描いていた。今は定規で小気味よく描いている。マス目の一つ一つは色鉛筆で塗られていく。國井さんは、この「虹トラック」をアート支援室〈ぴかり〉ができる前から自室で描いていた。支援者の一声、「絵でも書いてみれば」がはじまりだった。2010年に〈ぴかり〉ができてからは、担当者の菊地さんが部屋にいないときに絵を描きにやって来る。菊地さんがいるときは、なるべく来ないようにするか、紙だけとりにきて自室で描く。

國井さんは大の車好き。「おれの車」と命名したリヤカーをひいて歩き、山へ出かけ木の枝を集めたり、くるみを採集したりする。また、国道を行き交う大型のトラック、ショベルカー、除雪車などをひとしきり愛でるのが日課である。

若い頃は、パークゴルフ、クロスカントリーなどアウトドア派であったが、最近は年齢とともに、徐々に創作活動にシフトしてきた。

虹トラック「國井号」に積まれているのは、荷物か除雪車の雪か。一面真っ白の雪景色の中、キラキラときらめく夢を乗せて今日も走っていく。


PROFILE関連人物

國井 勇さんの顔写真

國井 勇

(英語表記)Isamu Kunii

(國井 勇さんのプロフィール)

1961年生まれ。北海道在住。社会福祉法人北光福祉会向陽園所属。開園当初より40年以上〈向陽園〉で暮らす。湧別原野オホーツククロスカントリースキー大会への出場は常連で、知的障がい者パークゴルフ大会で全道3位の入賞経験もある。《虹トラック》は2014年「ポコラート全国公募vol.4」で千代田区長賞を受賞。

嘉納礼奈[芸術人類学研究者]

(英語表記)Rena Kano

(嘉納礼奈[芸術人類学研究者]さんのプロフィール)

兵庫県生まれ。芸術人類学研究、EHESS(フランス国立社会社会科学高等研究院)、フランス社会人類学研究所在籍。パリ第4大学美術史学部修士課程修了。国立ルーブル学院博物館学課程修了。アウトサイダー・アートの研究、企画などに携わる。現在、アーツ千代田3331にて「ポコラート全国公募」コーディネーターも務める。『美術手帖』『ユリイカ』など多数寄稿。

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