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展覧会チラシの表画像。上段に出展作家の名前の一覧。下に青いペンで「も」の文字がたくさん描かれた齋藤裕一さんの作品

(カテゴリー)展覧会

(ニュースのタイトル)滋賀県立美術館で「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人―たとえば、『も』を何百回と書く。」開催

(更新日)2024年04月17日

(この記事について)

2010年から2014年にかけて 国内外で好評を博した「アール・ブリュット・ジャポネ」展の出品作450点を一堂に展観

本文

日本語では、「生の芸術」と訳されてきたアール・ブリュット。1940年代、フランスの画家、ジャン・デュビュッフェが、精神障害者や独学のつくり手などの作品に心を打たれ、提唱した美術の概念です。本展では、2023年に日本財団から滋賀県立美術館に寄贈された、45人の日本のアール・ブリュットのつくり手による作品約450点が展示されます。

たとえば、「も」を何百回と書いたり、他人には読めない文字で毎日同じ内容の日記を記したり、寝る間を惜しんで記号を描き続けたり―冴えたひらめきや、ひたむきなこだわりを形にするため、出どころの謎めいた発想と熱量をもって挑む、そんな冒険的な創作との出合いをお楽しみください。

作品が滋賀県立美術館に収蔵されるまで

2010年、フランス・パリのアル・サン・ピエール美術館で「アール・ブリュット・ジャポネ(邦訳:日本のアール・ブリュット)」展が開催されました。この展覧会では、滋賀を含む全国各地でその才能を見出された障害のある人や独学のつくり手たちの作品が日本のアール・ブリュットとして紹介され、話題を呼びました。さらに、会期後日本に戻ってきた作品群による巡回展が国内各地で開催され、逆輸入的に日本でもアール・ブリュットが注目を集めるきっかけとなりました。

本展に出品される45人の作品は、「アール・ブリュット・ジャポネ」展に出展された後、日本財団により所蔵されていたのもので、2023年、さらなる活用を目的に、アール・ブリュットを収集方針に掲げる滋賀県立美術館に寄贈(寄託を含む)されました。本展は、このコレクションの初お披露目になります。


5つのテーマで作品を巡る

1 色と形をおいかけて

色と形、それはなにかをつくるとき、大切な要素です。本展の作品のなかにも、色と形をめぐる様々な試みをみることができます。その中には、つくり手のひらめきや、気の迷い、動かす手の喜びなどが透けて見えてくることでしょう。

舛次崇《ペンチとドライバーとノコギリとパンチ》2006年 滋賀県立美術館蔵
撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

出展作家:松本寛庸、村田清司、伊藤喜彦、畑中亜未舛次 崇、藤野公一、木村 茜、鎌江一美、大梶公子、平瀬敏裕、八重樫道代(展示順)

2 繰り返しのたび

自分の名前、お母さんの肖像、同じ内容の日記などなど……ここでは、繰り返しを中心とした作品を紹介します。一つのことにこだわる執念にも、やすらぎを求める行動のようでもある「繰り返し」とは、どのような意味を持つ営みなのでしょうか。

佐々木早苗《無題》2007〜2008 年
滋賀県立美術館蔵
撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

出展作家:伊藤峰尾、吉川秀昭、芝田貴子、滋賀俊彦、橘高博枝、戸來貴規、齋藤裕一、上田志保、佐々木早苗(展示順)

3 冒険にでる理由

ここでは、つくり手たち自身を捉えた映像をご覧いただきます。映像を通し、つくり手たちの、生きることとつくることの分かちがたい結びつきについて、その一端を、感じ取っていただけることでしょう。

出展作家:木村 茜、伊藤峰尾、佐々木早苗、石野敬祐

4 社会の密林へ

路上に落ちていたモノを拾い集めてつくったオブジェや、独特に着飾った派手な服装で町中を行くパフォーマンス、また自分の知る人々の顔、関心のある乗り物の精巧な再現など、ここでは、社会との交わりを感じさせる作品を展示します。

石野敬祐《女の子》2009年 滋賀県立美術館蔵
撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

出展作家:八島孝一、宮間英次郎、上里浩也高橋和彦、西本政敏、平岡伸太、水谷伸郎、平野信治狩俣明宏、大久保 寿、吉澤 健、畑名祐孝、石野敬祐(展示順)

5 心の最果てへ

激しい感情を表明したり、やすらぎを求めたり、過去の記憶を掘り起こしたり、我を忘れてなにかに没頭したり、ここでご覧いただく作品からは、そういった心の動きを感じ取ることができるでしょう。

土屋正彦《(宇宙の父)スペース・ゴッドファーザー》
2004〜2009 年頃 滋賀県立美術館蔵
撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

出展作家:秦野良夫、木伏大助、内山智昭、木本博俊、松田僚馬、富塚純光、岩崎 司、小幡正雄、山崎健一、高橋重美、土屋正彦、澤田真一(展示順)


関連イベント

公開制作

本展の出展者の富塚純光による公開制作(富塚純光の虚実混成絵物語)が開催されます。事実と空想を織り交ぜた物語を絵と文字で紙面に紡いでいく、富塚純光の独特の公開制作です。

富塚純光《青い山脈物語8 おっかけられたの巻》2001年 滋賀県立美術館蔵
撮影:大西暢夫
写真提供:ボーダレス・アートミュージアムNO-MA

日程:5月11日(土)
時間:午後1時から2時まで
場所:滋賀県立美術館 ギャラリー
参加費:無料
※事前申込不要

たいけんびじゅつかん

小・中学生とその保護者対象の、展覧会鑑賞&創作体験。

日程:4月28日(日)、5月26日(日)
時間:午後1時から3時30分まで
参加費:200円(保護者の方のみ要観覧料)
定員:各回15名(抽選)
※事前にお申込み下さい
お申込み・詳細は滋賀県立美術館ウェブサイト

土曜日はギャラリートーク

当展覧会の担当学芸員による展示室案内。

日程:会期中 毎週土曜日
時間:午後3時30分から4時30分まで
参加費:要観覧料
定員:各回20 名程度(当日先着)
※申込不要

連携企画「アートと障害を考えるネットワークフォーラム2024」

日程:6月23日(日)
時間:午後1時30分から4時30分まで
参加費:無料
定員:70名(申込先着順)
※事前にお申込みください
主催:滋賀県文化スポーツ部 文化芸術振興課 美の魅力発信推進室


様々な理由で来館を迷っている方へ

小さなお子さんがいる、障害があるなどの様々な理由で、美術館へ行くことをためらっている方もいらっしゃると思います。しかし、滋賀県立美術館では、しーんと静かにする必要はなく、おしゃべりしながら過ごしていただけます。目が見えない、見えづらいなどの理由でサポートをご希望される場合や、そのほかご来館にあたっての不安をあらかじめお伝えいただいた際には、事前の情報提供や当日のサポートのご希望に、可能な範囲で対応いただけます。

滋賀県立美術館公式ウェブサイト
電話:077-543-2111

滋賀県立美術館外観(撮影:大竹央祐)

インフォメーション

「つくる冒険 日本のアール・ブリュット45人―たとえば、『も』を何百回と書く。」

会期:2024420日(土)から623日(日)
時間:午前930分から午後5時まで(入場は午後430分まで)
休館日:月曜日(ただし休日の場合には開館し、翌日火曜日休館)
料金:一般950円(800円)、高校生・大学生600円(500円)、小学生・中学生400円(300 円)
※お支払いは現金のみ
※( )内は20名以上の団体料金
※企画展のチケットで展示室1・2で同時開催している常設展も無料で観覧可
※未就学児は無料
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳をお持ちの方は無料
会場:滋賀県立美術館 展示室3

主催:滋賀県立美術館、京都新聞
特別協力:一般財団法人 日本財団DIVERSITY IN THE ARTS

お問い合わせ:滋賀県立美術館

会場

[滋賀県立美術館] 日本、〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740−1

滋賀県立美術館
日本、〒520-2122 滋賀県大津市瀬田南大萱町1740−1